大阪府茨木市
the Farm GARDEN Office 2026〜
「世代を超えて紡ぐ庭」
theFarmuniversalのコンセプトである「三世代が楽しめる」を、庭園設計に落とし込みました。
それが私たちの提案する、“世代を超えて紡ぐ庭”です。
家や庭は、先人・親から受け継いだ大切な財産です。
更地に戻すことは簡単ですが、そこには先人・祖父母の想い出や、自分自身の記憶が息づいています。
その想いを丁寧に紡ぎ直し、いまを生きる人たちや家族のための庭へと再構築することで、
それは次の世代へ受け継がれる、かけがえのない「心の財産」となっていくと私たちは考えます。
現在、新築の着工数は減少し、リフォームのご相談が年々増え続けています。
そうした時代の流れの中で、私たちは「古き良き記憶」や「日本の庭文化」を、
現代の暮らしに合ったかたちで再解釈し、次の世代へつないでいくことこそが
使命のひとつだと感じています。
先人が遺してくれた“モノ”や“コト”は有限です。
しかし、それを受け継ぎ、育てていくことで、未来には無限の価値が生まれると信じています。
私たちは、庭を通じて、世代を超えて受け継がれる“想い”と“時間”を育むお手伝いをしていきます。
限られた敷地の中でも広がりを感じられる庭を目指し、
入口中央を消失点としたパース構成としています。
視線が奥へ抜けることで実寸以上の奥行きを演出。
直線的なラインと植枡の緩やかな傾斜により遠近感とリズムを生み、
庭全体を一枚の風景のように見せています。
植栽を主役とするため上部構造物を抑え、抜けと遠近効果で植物が際立つ空間としています。
コンクリートや鉄といった長く残る素材に対し、飽きのこない直線を人の誘導装置として採用。
人工的な直線と自然の曲線が重なり合うことで、
人の意志と自然が静かに調和する庭を構成しています。
植栽枡や什器の一部にはコールテン鋼を採用しています。
表面の錆が内部を保護し、時間とともに風合いを深めていく素材です。
一般的な劣化とは異なり、環境や季節の変化を受けながら景色を育てていきます。
侘び寂びにも通じる性質を持ち、植物の成長と呼応しながら、
庭を“完成品”ではなく“時間とともに育つ風景”として捉えています。
竹垣や筧など、親世代から受け継いだ竹の風景を次世代へ繋ぐため、
竹本実風のコンクリート壁を採用しています。天然竹の経年劣化や職人減少を踏まえ、
素材を更新しながら記憶を継承する試みです。
竹の痕跡を写し取ることで、かつての風景を想起させる装置として庭に組み込んでいます。
かつての庭石を再編集し、現代の構成の中で活かしています。
採石業の縮小や資源制約を背景に、既存石材を継承しながら持続可能な素材選択としています。
砂利は白川砂利や川砂利といった汎用材を採用し、石の質感と余白の美しさを強調。
過去と現在が自然に交わる庭を目指しています。
溶融還元石とサバ玉土を採用し、循環型の庭づくりを実現しています。
溶融還元石は副産物を再資源化した人工石で、採石に頼らない新たな選択肢です。
サバ玉土は時間とともに崩れ、周囲の土と一体化していく素材です。
資源を消費するのではなく、自然の循環の中で景色を育てる庭を目指しています。
庭において古くから起用されてきた植栽を活かし、現代の解釈で再構成しています。
古くからの植物は時間の価値を持つ存在として位置づけ、
海外植栽も取り入れながら新たな景色を生み出しています。
さらに苔を地面ではなく立体的な構成材として用い、
空間に奥行きと厚みを付加。植物を“植える対象”から“空間を形づくる素材”へと再定義しています。
灯籠や蹲は処分されがちな存在を再構成し、照明や水場として機能を更新しています。
時間を重ねた風合いを価値として捉え、現代空間に調和させています。
筧や手すりには耐久性と安全性に優れたステンレスを採用し、
日常に溶け込む装置として再解釈しました。
デッキは庭を使う場へと広げる装置として、天然木の経年変化を時間の蓄積として受け止め、
暮らしとともに更新される場としています。